読んだ小説の感想を書いてみたり。
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ついったでの感想まとめその3。
『Lost stuffed animal』(かおるさとー様)
8年ぶりの故郷とか、昔の友達との再会とか自分のことと重なって懐かしい気分になりました。あの感情も若い女の子独特の感情ですね。懐かしさと同時に哀愁も感じたり。日常系ささやかミステリーは好きなので嬉しい限り。
『帰途 小景集』(小林様)
どれもよくある話だけど、飽きずに読めるのは小林さんの筆力故。どの作品もタイトルと最後の余韻がいいです。一番好きだったのは「祈り」。なにげない別れ話で二人ともダメダメなのに、何度も読んでしまう魅力がありました。
『にふぇーでーびるにらいかない』(tomoya様)
見せて勝負するオンノベを久しぶりに見て、懐かしくなりました。言葉の選び方、文章の構成、配置、スペースの取り方全てが細かく計算されています。ブラウザの画面は極力大きくした方が雰囲気出ると思います。
『オフクロー!』(いすず様)
ふざけた?世界感をどこまでも貫いているのがよいです。コメディたるものこれくらい読者を殴りに来て欲しい。バブル期のリゲインCMを思い出すような雰囲気。ぜひとも和食のお供に。しかし、誰よりも重労働を強いられているのが主人公という……。
『Te un ek~私とあなたの帰る場所~』(唯胡様)
本筋とは逸れるのですが、タガミというキャラクターについて掘り下げると結構面白くて、なんだかんだで彼も一途だったのであの性格さえなければトオノよりも応援したなあ。や、性格違ったら話にならないし、キャラも変わるけれど。
『JAP!!!』(ろく様)
暴力表現ざくざくではあるものの、教訓とか感動とか一切捨ててエンタメに徹したクレイジーな世界観が読んでいて爽快。三兄弟もいい味を出していて、台詞が好きなのは二郎で、実際にいたら一番いやなのも二郎。
『姉の告白』(ページのP様)
知り合いの話をちょいと思い出しました。短い話なのにお姉さんのキャラクターがしっかり立っています。ぱっと見「帰」という印象はないのですが、よく読むと至る所に「帰」が入っているのが面白いです。
『女神の帰還』(楠沢朱泉)
2年連続トリ位置を取った上に作品完成もギリギリという誰よりもチャレンジャーな作品。読むとイイヨ!
ついったでの感想まとめその2。
『王冠の涙』(早瀬千夏様)
とことん予想通りに破滅へ突き進む展開にやきもきさせられました。優しい童話口調で人間の欲、弱さ、汚さを非情に描いていて、いい人で終わるキャラクターがほとんどいないというのが面白いし好みでした。
『アーミン・プレストン卿と鏡の国のビクスビー』(早瀬千夏様)
とにもかくにもおめでとう! 毎度安定のプレストン卿。ビクスビーさんの軽快な語り口と、愛すべきキャラ達が健在です。ビクスビーファン(とベンファン)は必見!
『アルノルド・サガフィの帰郷』(GB様)
話の筋はもちろんながら、アルノルドというキャラがつかみ所がないんだけど、一本筋が通っていてつい興味深く観察したくなるタイプで楽しんでました。起承転結を含めた話の構成バランスがいいし、殿下がいかにも女性受けしそうでいい。
『昨日来た道 帰る道』(猫様)
年齢的なものも相まってついうちの猫に思いを馳せてみた次第。7年とか17年て幼い頃は気の遠くなる期間だったけど、今になると遠くて近い過去で、この年になって読んで良かったかもしれないと思いました。
『ユスラゴの花の香り』(恵陽様)
ユスラゴの花は夫婦の幸せの象徴であり、別れの見守り役であり、そして今後は彼女の心を癒やす存在になるのだろうなと思いました。短い作品にユスラゴを全面に押し出しているのにしつこくなりすぎず、印象的に仕上がっているのが上手いです。
『交叉軌道』(招夏様)
あの兄弟は声よりもあの煮え切らない態度がそっくりだと思う派。純粋に好みの部分で作品自体に特別な感情はないのだけど、別の部分で色々葛藤したというか、罠に嵌められたという気分。
『雲路をたどりて』(かみたかさち様)
わかっちゃいたけど、その通りの結末になってしまったことが非常に残念であり寂しく感じます。最後にタイトルに戻ると余計に哀愁が漂います。人間の弱さと国の儚さがよく表現されています。みんなで企画最高齢?のおじいちゃんを応援しましょう。
『なには無くとも』(koharu様)
毎回作風が違うのに、しっかり私の好みをついてくれるのが嬉しいです。自分が想像していた展開とは違う方向へあれよあれよと持っていかれ、ラストまでいい意味で裏切られたと思います。
『無言』(五部臨様)
一匹狼の主人公視点で語られていて、タイトル通り台詞がないので殺伐として物寂しく物語が進むのに、ラストがほんのり暖かい不思議な作品でした。みんなの贈り物と、塩スープにささやかなぬくもりの幸せを感じます。
『河童の王子様ですって』(菜宮雪様)
昨年に引き続きどこからつっこんだらいいかわからないジョブがあちこちで炸裂しています。アリマセの「嘘ですよーん」はオン文流行語大賞にノミネートしてもいいレベル。それにしてもなぜ二人はあんなにすれ違うのか……。
吉田ケイ様主催オンライン文化祭2013~帰~に参加。
ついったでの感想のまとめ。今年はちゃんと作品順の作者名つけられた。本来は作者個人にサイトへのリンクをつけるべきなんだけど、作業量増やすとハードル上がるのと、リンクいっぱいでも見にくいので、是非文化祭サイトへという言い訳。
『もっこ』(吉田ケイ様)
気を緩められるシーンがどこにもない王道ホラー。段階的に恐怖レベルが上がるいいますか、前のシーンを踏まえて恐怖を煽られるので、上手く書かれているなーと感心しきりです。自分に書けない分野だけに勉強になります。
『くもり夜空と律儀な旧友』(三崎春哉様)
短い話の中で千穂と奈緒子の性格、二人の関係性などがよく表れていて、台詞もちょっとしたエピソードも千穂らしい、奈緒子らしいと思える作品。一人暮らしのOLの生活感も良く出ていると思います。
『例え身は異国の地に眠ろうとも』(三田村優希様)
オンラインだからこその作品。小説よりも読み物に近くて企画だからこそこういう作品は増えるべき。作者はあくまでも作品との距離をおいて書いているので(当然ちゃ当然)、別の所で本当はどう考えているか聞いてみたいところ。
『The Forestkeeper』(Jules様)
イーサンが守っていたのはただの美しい森ではなくて、いつかエリーザと会える日を信じて昔の美しい思い出なのだなと思いました。後半の二人のやりとりはエリーザの方が上手で素敵な話なはずのにくすりとさせられました。
『荒野に帰す』(廿楽杏様)
正直結論には感動も納得もないのだけど、20体いたロボットがN-006一体になるまでの過程の部分の方が共感がもてるし、人間の本質である孤独の部分を押し出しているのがいいと思います。
『時の欠片』(耀華様)
きちんと現代と書き分けられた赤茶色の錆の世界観の作り方がお上手です。本編では一切触れられていないけれど、あの世界は「彼」の生きてきた様々な時代が融合した世界なのかなと思ったり。そんな世界であったから最後の一言がじんと染み渡ります。
『エレベーターボーイ』(春野悠様)
冒頭で大体のトリックはわかりましたが、それをラストまでどうやって持っていくのかや、伏線のちりばめ方をニヤニヤして読むのが面白かったです。あのラストくらいギリギリで臭わせるのも私好みかも。
『A.I』(水成豊様)
書き手の余計な感情の排除、言葉の選び方からSFらしい無機質であり読者との不思議な距離感がある作品。だからこそ最後のアイの一言が優しく響きます。シンプルながら色々な憶測が生まれるタイトルの付け方も上手いです。
『甘味組曲』(青波零也様)
画面からも甘い香りが漂ってきそうなくらいお菓子とラブラブに溢れていて、だからこそ苦みが引き立つ作品でした。小説何だけど本当にお菓子を食べているような味付けでした。「さよなら」じゃなくて「いってらっしゃい」という言葉選びが素晴らしい。
『ただいま!』(BUTAPENN様)
コメディも安定しているBUTAPENNさんは守備範囲が広いなあと感心するばかりです。笑い自体は作中でも一言出てくるとおり昭和向け。しかし、ただのコメディとあなどるなかれ。
『静焔華』
ホラーと呼ばれる作品になるのですが、最も恐ろしいのは伏線のちりばめ方でした。「おれ」がこれを狙って話していたのだとしたらと考えるとぞっとします。話が綺麗に纏まっていることすら恐ろしい。
テーマへの考察:散り際に燃える華という意味での熱。本来熱を持たないものに熱を持たせることでホラーレベルが上がっています。こういう使い方は勉強になりますね。
『炎と氷と冒険者』
シリーズものの番外編とあって主人公達のキャラクターは安定しています。リーメが強すぎるの和解して正解であったと思います。某族はあれでよく喧嘩ふっかけようと思ってましたね。
テーマへの考察:燃えるフレアドラゴン族の熱。この作品も熱い想いでの熱もあり。同じだけ氷もフォーカスされているので、テーマを熱と考えると氷に押されている部分も大きいかも。
『夢見鳥』
静かに進んでいく物語であるからこそ「あなたをころして、わたしはじゆうになるの」の台詞に背筋が凍ります。単なる蝶からという理由だけでなく蝶子自身が夢を見ていたと思うとタイトルの付け方も秀逸。
テーマへの考察:人の血の温かさとラストの屋敷が燃える部分でしょうか。この作品も冒頭にも書いてあるし、雰囲気から雪の日(作中には雪とは出てきませんが)という印象の方が強いです。
『戦の魔女-シュラハト・へクセ-』
一癖あるキャラクター達が織りなす恋愛は、実にストレートでした。私はストレートなのが好きなので、読んでいてスカッとしました(※ちゃんと恋愛もの)。イーラが愛おしくて仕方がないです。
テーマへの考察:最後の参考文献のところに書いてあります。その通りだと思います。ある意味熱い恋愛ものであり、イーラもハイレンも他のキャラも熱いものを持っている人々だと思います。
『書の国の迷い鳥』
Web上で読むというのが皮肉じゃないかというくらい本の描写が魅力的。図書館の人たちがどこまでも温かくて、一緒にサリィを応援したいという気になります。成長物として綺麗にまとまっています。
テーマへの考察:作中のどこかに熱という単語が出てきた気がします。炎鳥もテーマに引っかかっているのかと。前述の熱という単語をなくしてしまって、サリィの図書館にいたい熱い想いをもっと全面に出してよいかもしれません(すでに熱い想いはあるけれど、もう少しこれがテーマですと言わんばかりに出してもいいのでは、という意味)。
『P&S -Thermoelectric Effect-』
冒頭に至った原因には彼女の仕事に対する熱意もあるはずなんだけど、仕事モードへ切り替わるシーンは共感できる部分も多く自分も気合いを入れ直さなきゃいけないなと思いました。
テーマへの考察:熱い想い、これに尽きるかと。短い中で熱い想いが飛び交っていて、今回の作品の中でもテーマによく即していたと思います。むしろ、テーマに沿って書くのなら短い方が話がそれなくていいのではと体現した作品とも。
『余燼』
ミステリーとしても十分堪能できるけれど、テーマとタイトルの扱い方についてが非常に深いのでそちらを堪能するとより深まるかと。ある程度の答え(作者の解釈)は書かれているけど、それだけではない何か(裏)がたくさん潜んでいそうなのもよいです。
テーマへの考察:ミステリーでありますし、テーマの扱いについてははっきり書かれているので明言は避けます。後半に向けてテーマが燃えさかっているのが上手い。最後の炎も余韻があっていいです。
『The Time Over And The Heat Over』
この方はハードボイルド系好きなんだろうなあというのが作品全体から伝わってきました。自分がどういう思考回路をしたかは覚えていませんが、自分の思っていた方向とは逆の方向で話が纏まったので、それはそれでよい裏切りであったと思います。
テーマへの考察:もともとは熱暴走がテーマと絡んでいるのですが、最後は作中にも書かれているとおり人の温かさの熱へと変換されています。このエネルギーの変換が上手いです。
『真夏に降る雪』
この手のコテコテ異世界FTを最近見かけないのが残念で仕方ありません。鼠のエピソードってさらっと読み流してしまいがちだけど、ここから色々なことが推測できるので、鼠にしたのってすごいんじゃないかと思いました。
テーマへの考察:熱が奪われてしまった物語であり、熱を取り戻す物語。前者の考え方は面白い反面、「凍る」とか「氷」でもテーマとなり得てしまうので、後者で捉えるのが良いのかもしれません(え?両方でいいじゃないって?)。
『機関熱』
このまま雑誌に載せてしまえばいいんじゃないでしょうか。この手の好きな物語りは興味ない人にはよく分からないものになりがちですが、バイクに無知な私でも「へー」と感心することがたくさん書いてあって、作者の気遣いと筆力を感じました。
テーマへの考察:「エンジンは日本語で熱機関」だそうです。エンジンの話ももちろん出てきますが、何よりも熱いのは作者であるページのPさんのバイクに対する想いです。
『ボーダーライン』
タイトル通り細いボーダーラインギリギリ立った少女達の話。思春期の女の子の独特の感情だろうなと思っております。そして、結衣子と律で進む先が違うんじゃないかと勝手に想像してみたり。
テーマへの考察:彼女たちの思いは何よりも熱いです。燃え上がるようなとかじゃなくて、じわじわと奥底からくすぶるような、押し殺した熱い想いです。触ると火傷はしますね。
『ブルーマウンテンの所為』
基本をしっかり抑えた設定、話の流れであるからこそ後半の裏切り展開がよく効いてくると思います。きちんとその後をフォローして元の道に戻しているのがお見事。大人でも楽しめるけど、若いうちに読めばまた違う感想が出てくるのかと。
テーマへの考察:レイコのぬくもりの熱。熱というよりは温かさやぬくもりの方が近いので、熱度は弱めかと思われます。
『追懐の青』
それを怪物というのか否かという点に関しては、物語の背景を探るに怪物であったと思います。アルブレヒドとランツェの関係が板についてきてよい感じです。地味に城主のキャラがよいと思います。
テーマへの考察:この作品も熱を失った村の物語。過去のキャラクターを使っているというのがどれだけ影響しているのかはわかりませんが、テーマがわかりにくくなってしまっているのが少々残念です。
『クリスマス☆さぷらいず』
パッション!でマジ大爆発です。笑いたい人は読むべし。ホテル関係者達のプロの仕事ぶりにも注目です。何よりも昨年の「ゆずり葉の系譜」の方だということがサプライズでした。
テーマへの考察:パッション!パッション! 冒頭での伊佐美君の燃えたぎるような熱い想いはもちろん、ホテル関係者達の仕事に対する情熱であったり、ラストの恋の予感であったり。パッションパッション!