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読んだ小説の感想を書いてみたり。

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オンライン文化祭大賞2013(2)作品部門

 オンライン文化祭2013~帰~に寄せられた作品のうち各部門において優れた作品に贈られる賞。作品編。
 ネタバレはしませんが、作品の方向性はわかってしまうので気になる方はご注意を。

●テーマ賞:
 『ただいま!』 (BUTAPENN様)
 『ニューボーン2』 (yamanun様)
 小説部門とその他の部門から一つずつテーマである「帰」を最も生かした作品に贈られる賞。
 「ただいま!」は、私はストレートなのが好きで、テーマそのものの家に帰るに終始した作品
だったので。ただ、帰るだけじゃなくて主人公の帰りたい気持ちや帰る家(両親のこと)にも触れられているのがいいです。
 「ニューボーン2」は書き込みすぎないシンプルな絵柄に反して、テーマの帰に戻るまでにぐるりと回って絵では語られない部分がたくさんあります。テーマがあって奥深さが出る作品。

●オンノベ賞:
 『例え身は異国の地に眠ろうとも』 (三田村優希様)
 『にふぇーでーびるにらいかない』 (tomoya様)
 商業用でも、同人誌でもなくオンラインノベルだからこそ読みたい・書ける作品に贈られる賞。ダブル受賞です。
 「例え身は異国の地に眠ろうとも」はルポタージュ的作品で、企画作品ではなかなか見かけないので貴重です。こういった小説とは少し違う視点に立った作品は企画でもっと増えて欲しいものです。
 「にふぇーでーびるにらいかない」は動く文字、文字の並べ方、空白の取り方などオンノベでなければ味わえない作品です。最近のオンノベは内容のレベルが高い代わりにこういった遊び心(でも、内容もしっかりしている)のある作品をあまり見なくなったのでオンノベ賞を贈ります。

●流行語大賞:
 『河童の王子様ですって』 (菜宮雪様) アリマセ「嘘ですよーん」
 是非とも日常生活でみんなで流行らせようじゃないかという台詞に送られる言葉。厳密に言うと「嘘ですよーん」を流行らせたいというよりも、その前のアリマセのあのつかみ所のない微妙すぎる嘘を流行らせたいのかもしれません。

タイトル賞: 『帰懐葬々』 (彩真創様)
 タイトルの付け方が上手いと作品に贈られる賞。
 比較的ストレートなタイトルが多かった今回の企画の中でぱっと見内容がわからなくて=興味が湧いて、作品を読んだ後タイトルに戻るときっちり内容を反映されているタイトルでした。自分ではこういったタイトルはつけられないという尊敬も込めて。

●グッドデザイン賞: 『Going HOME~空と水~』 (カリキモトコ様)
 ただのだまし絵ではなくて幾何学的なデザインと色使いが美しくてオシャレ。できることならばPCのデスクトップにしたいです。

●舞台賞: 『時の欠片』 (耀華様)
 赤茶色に錆びた街の風景が脳裏から離れなくなるほど印象的でした。錆びた街に行ったかのような感覚になるのは錆びた街の描写力に対して現代の街の風景に関しては書き込みすぎないという塩梅の上手さによるものかと。

●構成賞: 『甘味組曲』 (青波零也様)
 短編連作という形をとりながらも最終話以外は単発で読んでも話が完結しているのと、一話があれだけ短いのにきちんとスイーツと絡めて話をまとめているという完成度の高さでした。

●ベストオープニング賞: 『アロハな夜』 (佐伯もや様)
 始まり方が最も好きな作品に贈られる賞。
 睨む猫の「君は嘘つきだ」で一体何が起こるのだろうと心を掴まれました。猫好きなので、猫が睨んだ顔に惹かれた部分も大いにあり。

●ベストエンディング賞: 『エレベーター・ボーイ』 (春野悠様)
 終わり方が最も好きな作品に贈られる賞。
 全ての謎が解明されたすっきり感と二人の関係が始まろうとするそのすれすれ具合が好きです。最後の台詞も恋の始まりとも取れるし、経過を知っている人にはクスリと笑える一言で読後感が爽やかでした。

●エンタメ賞: 『アルノルド・サガフィの帰郷』 (GB様)
 エンターテイメントとして最も優れた作品に贈られる賞。
 一人一人のキャラクターが立っているのもよいし、ストーリーも銃口を向けられる冒頭に始まり、逃走劇の中黒幕がいたり最後に大どんでん返しがあったり本当に「楽しむ」ための小説でした。

●コラボ賞
 『源天海樹』 (吉田ケイ様)
 『源天海樹に想う』 (猫様)
 元々は吉田さんの作品にファンアート?な位置づけで猫さんが詩を書いたものを吉田さんが合体させています。それぞれの作品の完成度も高いけれど、二つの作品が一緒になったときに互いが互いの良さを高め合う最強コラボレーション発動で、もう二つをわけて考えることは出来ません。合作の意味を改めて考えさせられました。

●コメディ賞: 『オフクロー!』 (いすず様)
 常日頃よりコメディたるもの読者を殴りにかかれと申しておりますが、まさにこの作品がそうです。私の目指す、そして愛するコメディがここにあります。突っ込み所満載、でも本人達は大まじめに熱いというギャップがたまりません。

●掌編賞: 『ユスラゴの花の香り』 (恵陽様)
 掌編好きな私がもっと掌編が増えればいいのにと設立した短い作品の中で優れた作品に送られる賞。
 短い物語で夫婦の愛ありユスラゴの存在感あり6枚とは思えないほどの厚みがあります。本当に綺麗に纏まっている作品で、長いだけが小説だけじゃないと声を大にして言いたいです(つまりは5枚以下の部門もプリーズという希望)。

●癒やし賞: 『orientation』 (満マロン様)
 この作品は本当に何度見たことか。大きなストーリーがあるわけではないのに見る度に元気をもらえます。作品の力というものを感じます。

●共感賞: 『Lost stuffed animal』 (かおるさとー様)
 育った街に戻ることやら小(中)学生の友達に対する不安定な感情やら過去の自分に対する罪悪感やら自分も通ってきた道がそこにあって共感できる部分が多かったです。奇想天外ではなくて日常のミステリー仕立てになっているのも共感。 

●青春賞: 『くもり夜空と律儀な旧友』 (三崎春哉様)
 高校時代の日常やくっつき過ぎない微妙な関係は青臭さ全開でした。主人公達がリアルタイムで青春しているわけでは無いけれど、物語に青春が一杯つまっていて大人になるとはと考えてしまいました。

●タイミング賞: 『おかえり』 (水成豊様)
 作品は出会うタイミングで印象や受け取り手に与える影響が大きく変わってくるものですが、今出会えてよかったと思う作品に贈られる賞。
 5年前の私だったらこんなに感銘を受けないだろうなあと思うくらい、見ていて切なくなりました。久しぶりにキュンとして心が揺らいだ作品でした。

●もっと早く書きま賞: 『女神の帰還』 (楠沢朱泉)
 誰よりも遅い自信があるので、吉田さん毎度ご迷惑をかけてすみませんでしたと懺悔をする賞。

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