読んだ小説の感想を書いてみたり。
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『静焔華』
ホラーと呼ばれる作品になるのですが、最も恐ろしいのは伏線のちりばめ方でした。「おれ」がこれを狙って話していたのだとしたらと考えるとぞっとします。話が綺麗に纏まっていることすら恐ろしい。
テーマへの考察:散り際に燃える華という意味での熱。本来熱を持たないものに熱を持たせることでホラーレベルが上がっています。こういう使い方は勉強になりますね。
『炎と氷と冒険者』
シリーズものの番外編とあって主人公達のキャラクターは安定しています。リーメが強すぎるの和解して正解であったと思います。某族はあれでよく喧嘩ふっかけようと思ってましたね。
テーマへの考察:燃えるフレアドラゴン族の熱。この作品も熱い想いでの熱もあり。同じだけ氷もフォーカスされているので、テーマを熱と考えると氷に押されている部分も大きいかも。
『夢見鳥』
静かに進んでいく物語であるからこそ「あなたをころして、わたしはじゆうになるの」の台詞に背筋が凍ります。単なる蝶からという理由だけでなく蝶子自身が夢を見ていたと思うとタイトルの付け方も秀逸。
テーマへの考察:人の血の温かさとラストの屋敷が燃える部分でしょうか。この作品も冒頭にも書いてあるし、雰囲気から雪の日(作中には雪とは出てきませんが)という印象の方が強いです。
『戦の魔女-シュラハト・へクセ-』
一癖あるキャラクター達が織りなす恋愛は、実にストレートでした。私はストレートなのが好きなので、読んでいてスカッとしました(※ちゃんと恋愛もの)。イーラが愛おしくて仕方がないです。
テーマへの考察:最後の参考文献のところに書いてあります。その通りだと思います。ある意味熱い恋愛ものであり、イーラもハイレンも他のキャラも熱いものを持っている人々だと思います。
『書の国の迷い鳥』
Web上で読むというのが皮肉じゃないかというくらい本の描写が魅力的。図書館の人たちがどこまでも温かくて、一緒にサリィを応援したいという気になります。成長物として綺麗にまとまっています。
テーマへの考察:作中のどこかに熱という単語が出てきた気がします。炎鳥もテーマに引っかかっているのかと。前述の熱という単語をなくしてしまって、サリィの図書館にいたい熱い想いをもっと全面に出してよいかもしれません(すでに熱い想いはあるけれど、もう少しこれがテーマですと言わんばかりに出してもいいのでは、という意味)。
『P&S -Thermoelectric Effect-』
冒頭に至った原因には彼女の仕事に対する熱意もあるはずなんだけど、仕事モードへ切り替わるシーンは共感できる部分も多く自分も気合いを入れ直さなきゃいけないなと思いました。
テーマへの考察:熱い想い、これに尽きるかと。短い中で熱い想いが飛び交っていて、今回の作品の中でもテーマによく即していたと思います。むしろ、テーマに沿って書くのなら短い方が話がそれなくていいのではと体現した作品とも。
『余燼』
ミステリーとしても十分堪能できるけれど、テーマとタイトルの扱い方についてが非常に深いのでそちらを堪能するとより深まるかと。ある程度の答え(作者の解釈)は書かれているけど、それだけではない何か(裏)がたくさん潜んでいそうなのもよいです。
テーマへの考察:ミステリーでありますし、テーマの扱いについてははっきり書かれているので明言は避けます。後半に向けてテーマが燃えさかっているのが上手い。最後の炎も余韻があっていいです。