読んだ小説の感想を書いてみたり。
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500文字の心臓~第112回タイトル競作『告白』~に参加。
純情中高生のこっぱずかしくなるような青春物語を期待していたけれど、なくて残念でした。告白と懺悔って微妙に違う気がします。
作品数は多かった割に、全体的にタイトルに振り回されて消化し切れていない印象でした。どれもこれも作品に食われてしまった印象。下手にこねくり回すよりストレートパンチ食らわせた方が面白かったのではないでしょうか。
選評も読んでいて触手がのびなかったので、気分の問題かもしれませんが。
正直印も無理くりつけて選評全体が消極的になってしまいました。
×<告白1>
>友人が家に来た。
せっかくストレートで攻めてくれていたのに、なぜあそこで終わらせてしまったのでしょう。残念。逆選で。
○<告白6>
>よくある類のジンクスで、
この彼女じゃ調教の結果ををうまく見せても気づいてもらえなかったかもしれませんね。
愛を告白系の中では比較的良かったかと。
僕が淡々としすぎている印象を受けました。もう少し意気込みっぽいの(空回りだとなおよい)やドキドキ感が伝わってきたら正統な○であったと思います。
<告白8>
>本当のことはそっと小瓶に入れる。
正選王。
個人的には告白とは少しずれていると感じたのですが(テーマならばともかく、タイトルとして)、他の作品がふらふらしているのに対しぶれていないので際だって完成度が高いです。心臓っぽいし、心臓受けしそうな作品で正選王っぽい作品。
<告白10>
>草をひく。
題材は素敵だけれど、もっと狂気じみた雰囲気が欲しかったです。
<告白13>
>はい、ごめんなさい。
いつもの私のことですね。これって告白じゃなくて懺悔ですよね。共に懺悔しましょう。ただ、自分が常習犯なせいかこの文章も常習犯に見えてしまって、告白感が足りない気がしたのも事実。
某氏が某所で同じネタを出してきて、今回の告白に関しては、このネタで作品の1/3が占めていた方が競作イベントとしては面白かったと思ってしまったり。ネタかぶりにも程があるけれど、誰が一番切迫感、告白感を伝えられるのか。
○<告白16>
>あの日、両親は
落としどころはすごく好きだけど、それまでの過程がいただけませんでした。オチに持っていくためだけの存在になってしまっていて、それ以外の必要性がないように感じました。前半全く別の方向から攻めてあのオチに持っていって欲しかった。本当にオチは何度読んでも好き。
雰囲気そのものは悪くないし、他に贈呈したい作品もなかったので消極的に○を。
<告白21>
>誰からも愛されています。
なんだか1回読んだだけでやたらインパクトがあるんだけど、選評を書く気まではならない作品は峯岸さん作でいい気がしてきました。
<告白22>
>聴罪師の私の元へ
なんとかすれば面白い作品になったのかも。題材そのものは悪くないと思っています。
段落の最初の文字が空白でないとか、牧師なら私事にかかわることでも懺悔を聞いて泣くことはないはず(号泣はやりすぎ)とか、視点がぶれているとか気になるところが多すぎました。
<告白26>
>私は実はどうしようもない善人なのです。
逆選王。
も、ももももも、申し訳ございません。あまり読んだ記憶すらふっとんでます(リアル告白)。
今回も他の方の選評を受けた上での感想的何かをざざっと。印は変えてません。
○<煙3>
>私は重い瞼のまま、
煙という存在を見事に表現できていると感じました。たくさんの原因不明煙がこちらへ向かってきた時を考えると誰もが同じような行動を取るのではないでしょうか。
終わり方が残念。私がそこで意識をなくしたのなら「、」では終わらないだろうし、わざとその先をぼかすのなら「……」の方がいいのかなというのはあくまでも自分の好みですが。ラストさえ気にならなければ◎にもなりえた作品。
○<煙14>
>こっこれ、受け取ってください、
蒸気機関車のごとく立ち去る少女(自分の中では中高校生)が何とも可愛らしい。
煙じゃなくて湯気だろうと言いたいのですけれど、他に○を贈呈したい作品がなかったのと少女?がかわいらしかったので、やや消極的に○贈呈。
×<煙19>
>「お嬢さんと結婚させてください」
掲示板で物議を醸し出した作品。
「ハンディ」のくだりは言葉選び以前の問題でこの作品には不要と思いました。一方で、具体的な内容を書かずにぼんやりした「ハンディ」という言葉を使用したが故に余計にややこしくなったのも事実だと思います。微妙な表現と言えば微妙。
私個人は純粋に「このくだりイラナイ」と思って読み飛ばした派です。
最初の選評で「話としては好き」と書いたのですけれど、掘り下げてみたらちょっと違う気がしました。たぶん、様々な問題を抱えた上で好感が持てるというのが正しい表現なのかもしれません(冷静に突っ込ませると他にもちょっとん?と思う部分はあるので)。
心臓ではどうも上手いこと言いつつコメディ調のもシリアス調のも殺伐とした印象を与える作品が多いです。そんな中で不器用な父と婿の交流という心温まるエピソードが描かれているというのは、個人的に評価したいのです。500文字という短い作品の中ですから、表現をとことん突き詰めるのも面白いけれど、そういうのばっかりだと飽きてしまうので人間くさいのに惹かれたっていいじゃないですか。
なので、心臓以外でこの作品を読んでいたらまた評価が変わるかもしれませんね。
<煙1>
>夜、街の上空を白濁した光る流れのようなものが
ネタがわかりませんでした。
前回の流れからすると、誰か一人くらい解説してくれるはず。……とか書いてみたけど、結局わかりませんでした。
<煙5>
>タバコに火を点ける。
煙を上手く処理して綺麗に纏まっていると思います。儚さがよく出ています。
「煙」というタイトルを考えた場合、確かに「煙」なんだけど、なんかしっくりは来なくて、ネタとしてはありがちなので印をつけるまでには至らず。
→しっくり来ないのは既視感なのかなあという気も。
<煙6>
>停留所の時刻表によると、
伏線の張り方とか話としては好きです。
タイトル競作として考えた場合、煙の人&バスのが「煙」というタイトルだから出てきたという感じで存在意義があまりよくわからなかったのが残念。
超短編は全てを説明する必要は無いものだし、わけのわからない感を楽しむものではありますが、逆に言えばそれを突っ込ませてはいけないものでもあるように思います。いかにもそれが当然のように書かなければいけないというか。それが難しいのですけれど。
→他の人の選評読んで「煙に巻く」作品だったのかなと。話は面白いけど、やっぱりタイトル競作として考えるとタイトルに負けた(「煙」というタイトルで無理くり作った感)が強いです。<19>とは逆に心臓だから評価が下がったタイプ。
<煙8>
>こんな田舎の国で、
なぜだかどんどん高級になっていくCAMRYのことでよろしいでしょうか?
→これも煙に巻く系だったのですね。ならば<6>の方が好み。
<煙9>
>放射能予測の隠匿が問題になった際、
こういう(いい意味で)アホっぽいのは読んでいて楽しいです。
ただ、こういうのって世界規模で研究されるものであって、キュウリ色や金煙というのはあり得ないと思うのです。楽しくというのはわかるけれど、視点が狭いと感じました。
→が、同じ突っ込みをする人はおらず。残念。みんな気にならないのですね。
<煙11>
正選王。
すみません、全く印象になかったというか、気にとめていなかったというか。
多分上手いのだろうし、いかにも心臓では好まれそうな文章ではありますが、おそらく作者さんの中の煙と私の中の煙のイメージが乖離しすぎて、私には「煙?」という感想しか出てきませんでした。もう、これは完全なる感性の違いで、作者様ごめんなさいです。
私は周りにも「恐ろしいほど現実的」と言われる人なので、足が地から離れるような想像は苦手なのです。きっと世間的には素晴らしい表現である「時差のある万華鏡」も、自分的には万華鏡って元々時差のある物(回してから絵柄が変わるから時差ありますよね?)だからどういう表現をしたいのかがわからず、むう。ドミノ的に次々と絵柄が変わるみたいにとらえればいいんでしょうか?
一人くらい現実見る人がいた方が世の中うまくいきますよ、と言い訳しておきます(実に言い訳だな)。
<煙16>
>会社の同僚の口元を良く見ると、
5段落までは面白い。
<煙21>
>私は、とある町の十字路に居た。
話は面白い。
「煙のように消えていった」意外に煙を感じ取れませんでした。この作品をタイトル競作ではないところで読んで、Tシャツにもっと面白いことが書いてあったら◎にしましたのに。
<煙22>
> 食事の時間になり
逆選王。
強いですなー、の一言。
前回今回選評すら書いていない私ではありますが、印象に残る(頭に何かひっかかる)作品を書かれる方であるのは事実。上手いのも事実。
じゃあ、なんで自分が選評を書くまでに至らないか、というのは今後考えてみます。単なる好みの問題だけではなさそうなので。
<煙24>
>煌めけるような気もしたけれど、
作者が違えど毎回この手の作品が出てくると辟易。
上手いことをいうという点では頭を使っているのかもしれないけれど、タイトルから発想をするという点では思考放棄をしているようにも感じ取れます。
前回はこういうネタが多かったから別の路線で攻めるくらいの発想はして欲しいですし、似たようなネタを使うのならば別の方向で直球勝負をして欲しいです。
というわけで、ろくに読みませんでした。すみません。
超短編・500文字の心臓~第110回タイトル競作『K』~に参加。
選評以外の部分で追記。
今回選評掲示板で話題になった謎解きの話題だったりタイトルについて。
私の解釈としてはタイトル競作として理想的な形はタイトル→作品→タイトルというものです。タイトルから作品が書かれたのがわかって、読み終わるときちんとタイトルに帰結しているもの。上手いこと言ったとか、仕掛けがあるとか、そういうのは関係なくてタイトルにきちんと帰結しているかが一番のポイントにしています。作品は好きだけれどタイトルとかけ離れているものに×をつけてます。なので、個人的には×の方が好みだったりすることも多々。
謎解きはですね、私は知識というものは読んだ片っ端から忘れていく人間なので、知識がないと楽しめない作品というのは好みません。知識がなくても楽しめて、知識があるとさらに深く楽しめる作品がよいです。シンプルでも良作というのはたくさんあるのです。絵本のように。そういう意味ではあれだけ謎解き作品があって、正選王がシンプル作品に落ち着いたというのは皆さん何かしら謎解きに対して感じるものがあったのではないでしょうか(という私は正選王に入れていませんが)。
心臓では結果発表後に作者様が自作の解説を色々されていることが多いですが、自分の中では作品の文字数より解説の方が文字数多いのは完全アウトです。言いたいことは全て作品に詰めるべきと考えています。これこれはあの人の言葉を引用みたいなのはわかる人だけにわかればいいんです。小ネタをちょろっと程度でお願いしたいのが本音。
超短編・500文字の心臓~第110回タイトル競作『K』~に参加。
久しぶりの参戦。
今回は作品云々よりも選評が面白かったです。自分が解釈できなかった作品の謎が次々と解き明かされるのが。一方で、選評というのが他の人の選評読んでそれからさらに解釈を重ねて書かれているので最後の方に書いた選評ほど他人の影響を受けているというのが興味深いところです。多分、それがなければ全く違う結果になったんじゃないかなあという気もします。その結果も見てみたかったです。
毎回自分は人の選評に影響されるのが嫌なので、早めに選評を書くようにしています。
というわけで、せっかくなので他の人の選評を踏まえた上での選評的感想を以下に。印は変えていません。
○<K15>
>それはまるで、宮廷全体が
物語の最後がKに帰結していたので○にしました。
トランプ柄をうまく当てはめたのは良いのですけれど、そちらに気を取られたのか前半の文章があまりきらめいていなかったので○止まり。これが上手く纏まっていたら◎にしていました。
この作品のオチ?がわからないという選評を多く見かけましたが、私は遠巻きに同じネタを使っていたのですぐにわかりました。
○<K5>
>Jと目が会ったのがいけなかった。
こういうホラー系というかいかにも不思議系オムニバス物語は好みです。
もっとKはキングらしくして欲しかったといったら欲張りでしょうか。
よく読むとKは食われちゃってあんまりKなタイトルではなかったので、消極的○。
×<K17>
>向かい風。
作品の雰囲気としては好きだけど、タイトルはやっぱり「K」ではなくて「K点」だと思われるので逆選にしました。
<K2>
>「あれっ?」
Kの意味はすぐわかったのですけれど、薬指が誰だったかすぐに出てきませんでした。お姉ちゃんでしたね。誰かの選評でローマ字打ちのじゃないとこの作品の意味が通らないと詩的があって、確かに、と。するとKというタイトルは日本人の私たちにとっては不適のような気がしてきました。遊び心は好き。
<K4>
彼の名前はアルファベットでなければいけない何かがあるのですけれど、自分の中でSとかIでも置き換わってしまったので印贈呈まではいかないのかなと。
これがタイトル競作じゃなくて「K」というタイトルのこの内容であれば作品としては素晴らしい。
<K6>
>「古き絵や 逢わず
逆選王。
この手の話はきっとすごく好きなんだろうけど、いかんせん知識不足読解力不足で解釈が出来ませんでした。
→と、書いた後に色々な方が解説をしてくださったのですが、これまた面倒な仕組みになっていてそれを解釈するまでの情熱はありませんでした。もう少し簡単に解釈できればなあ。雰囲気は好きなのだけれど、謎解きに走ってしまって読者には優しくない作品でした。タイトルはKにはならないですね。
多分、この作品は超短編ではなくて普通に山仙さんが解釈案で書いてくれたような背景を含みつつもっと長い文章で書くべき作品だと思いました。その方が絶対面白い。
<K8>
>勝手なことをと、
<K20>
>木下は電話応対中、
やっていることは一緒なのでまとめて。この手の作品は心臓に多い気がします、悪い意味で。これをやっておけば上手く作った気になれる的な。
<K8>の方が上手く作り込んだなという印象は受けますが、なぜローマ字打ち前提の作品でKの単語を避けてcを持ってくるのかがわかりませんでした。あと他の方々の指摘した手のひらその他……は途中で断念した感じがして残念。
ただ、これらの作品を声に出して読んだ場合、カ行がいっぱい詰まってるって日本語として美しくないと思うのですがいかがでしょう? むしろ耳障りなのでそれを狙ったのかもしれませんが。自分のことを棚に上げて言うと私は綺麗な日本語の方がいいです。なのでハ行だったら、評価が変わったかもしれません。
<K10>
>溢れ返る色彩に
クレーって聞いたことがあるけれど、どちらの誰でしたっけ?と無知を晒してみます。
知ってれば作品が輝いて見えるんだろうけど、無知な私でも楽しめる作品かというとそこまでの魅力は感じず。
でも、これはこれで知っている人だけ楽しめる作品でよいのかなと思っています。
<K11>
>強烈なボディで体がくの字
正選王。
シンプルながらKな作品。多分、自分が格闘技に興味が無いから引っかからなかったのだと思います。
<K13>
>目覚めると彼女がいない代わりに何の暗号か、
自分の書く大文字のKでイメージしたら全く話がかみ合わなくて、競作ページのそのままのゴシック体Kで考えないといけなかったのですね。ラストとか好きだけど、いかにも心臓っぽいからという理由で印をつけなかったような。
そういうわけで、全作品・作家へのコメント終了です。なんとか完走。
今年の「へんぐえ」も十分堪能させていただきました。
昨年はプロフィール欄が真面目なのが多くてちょっぴり寂しかったのですが、今年は読み応えのあるプロフィールが多かったのでそれも嬉しかったりしています。帰るまでが遠足と言うように、プロフィールまでが作品ですよ。
かくいう私も某先生にプロフィール欄でやっちゃってくださいとけしかけたところ、幼女幼女と書かれていて予想以上のものができていたので、けしかけた甲斐がありました。
私も同志を求めて一言書いております。該当される方はぜひご連絡を。
今回の一般作品のテーマは「女のあやかし」でした。個人的な総評としては女性はしたたかで怒らせると怖い、です。コメディだろうがホラーだろうがどの作品もその辺が根底にあったのではないでしょうか。そのせいか男性でなければ書けない作品、女性だからこそ書ける作品というものも多く集まったと思います。男女の物事への認識の差というのが出てきて、妖怪とは別にこれも興味深かったです。
編集部が狙ったのかたまたまなのかはわかりませんが、構成面でも素晴らしい冊子でした。
特別企画がタイトル通り妖怪街にお迎えする「ようこそ、この町へ」で始まって、妖怪とお別れする「おかえり」で終わるのですよ。最近これに気づいた時はハッとしました。編集部狙ってるんじゃないかと。やや内輪の話になりますけれど、ワタクシ茶林氏の次は絶対嫌だと言い張っておりましたら楠沢→茶林→青砥という順番になりました。なんだかこれも狙われた気がしていたのです。(注:実際の所はわかりません)
またあいうえお順に並んでいるはずの一般作品も最後の作品が「くびったけ」になっているのが出来すぎています。「へんぐえ~桔梗~」恐ろしい子!
世間で言う出来た作品にいくつか感想を投下するのは簡単で、他にも沢山やっている人がいます。読書家の人ならばもっと深く読むし、いい感想を書くはずです。私は人様がやらない方法で、エンタメ的に感想というか作品紹介が出来れば良いのかなと思っております。
最後にもう一度今回の感想の趣旨を。
「素敵だと思った作品に賞を贈呈させていただきます」
そういうことです。
編集部の皆様、参加された皆様ありがとうございました。
また、機会がありましたらよろしくお願いいたします。