読んだ小説の感想を書いてみたり。
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吉田ケイ様主催オンライン文化祭2013~帰~に参加。
ついったでの感想のまとめ。今年はちゃんと作品順の作者名つけられた。本来は作者個人にサイトへのリンクをつけるべきなんだけど、作業量増やすとハードル上がるのと、リンクいっぱいでも見にくいので、是非文化祭サイトへという言い訳。
『もっこ』(吉田ケイ様)
気を緩められるシーンがどこにもない王道ホラー。段階的に恐怖レベルが上がるいいますか、前のシーンを踏まえて恐怖を煽られるので、上手く書かれているなーと感心しきりです。自分に書けない分野だけに勉強になります。
『くもり夜空と律儀な旧友』(三崎春哉様)
短い話の中で千穂と奈緒子の性格、二人の関係性などがよく表れていて、台詞もちょっとしたエピソードも千穂らしい、奈緒子らしいと思える作品。一人暮らしのOLの生活感も良く出ていると思います。
『例え身は異国の地に眠ろうとも』(三田村優希様)
オンラインだからこその作品。小説よりも読み物に近くて企画だからこそこういう作品は増えるべき。作者はあくまでも作品との距離をおいて書いているので(当然ちゃ当然)、別の所で本当はどう考えているか聞いてみたいところ。
『The Forestkeeper』(Jules様)
イーサンが守っていたのはただの美しい森ではなくて、いつかエリーザと会える日を信じて昔の美しい思い出なのだなと思いました。後半の二人のやりとりはエリーザの方が上手で素敵な話なはずのにくすりとさせられました。
『荒野に帰す』(廿楽杏様)
正直結論には感動も納得もないのだけど、20体いたロボットがN-006一体になるまでの過程の部分の方が共感がもてるし、人間の本質である孤独の部分を押し出しているのがいいと思います。
『時の欠片』(耀華様)
きちんと現代と書き分けられた赤茶色の錆の世界観の作り方がお上手です。本編では一切触れられていないけれど、あの世界は「彼」の生きてきた様々な時代が融合した世界なのかなと思ったり。そんな世界であったから最後の一言がじんと染み渡ります。
『エレベーターボーイ』(春野悠様)
冒頭で大体のトリックはわかりましたが、それをラストまでどうやって持っていくのかや、伏線のちりばめ方をニヤニヤして読むのが面白かったです。あのラストくらいギリギリで臭わせるのも私好みかも。
『A.I』(水成豊様)
書き手の余計な感情の排除、言葉の選び方からSFらしい無機質であり読者との不思議な距離感がある作品。だからこそ最後のアイの一言が優しく響きます。シンプルながら色々な憶測が生まれるタイトルの付け方も上手いです。
『甘味組曲』(青波零也様)
画面からも甘い香りが漂ってきそうなくらいお菓子とラブラブに溢れていて、だからこそ苦みが引き立つ作品でした。小説何だけど本当にお菓子を食べているような味付けでした。「さよなら」じゃなくて「いってらっしゃい」という言葉選びが素晴らしい。
『ただいま!』(BUTAPENN様)
コメディも安定しているBUTAPENNさんは守備範囲が広いなあと感心するばかりです。笑い自体は作中でも一言出てくるとおり昭和向け。しかし、ただのコメディとあなどるなかれ。
『静焔華』
ホラーと呼ばれる作品になるのですが、最も恐ろしいのは伏線のちりばめ方でした。「おれ」がこれを狙って話していたのだとしたらと考えるとぞっとします。話が綺麗に纏まっていることすら恐ろしい。
テーマへの考察:散り際に燃える華という意味での熱。本来熱を持たないものに熱を持たせることでホラーレベルが上がっています。こういう使い方は勉強になりますね。
『炎と氷と冒険者』
シリーズものの番外編とあって主人公達のキャラクターは安定しています。リーメが強すぎるの和解して正解であったと思います。某族はあれでよく喧嘩ふっかけようと思ってましたね。
テーマへの考察:燃えるフレアドラゴン族の熱。この作品も熱い想いでの熱もあり。同じだけ氷もフォーカスされているので、テーマを熱と考えると氷に押されている部分も大きいかも。
『夢見鳥』
静かに進んでいく物語であるからこそ「あなたをころして、わたしはじゆうになるの」の台詞に背筋が凍ります。単なる蝶からという理由だけでなく蝶子自身が夢を見ていたと思うとタイトルの付け方も秀逸。
テーマへの考察:人の血の温かさとラストの屋敷が燃える部分でしょうか。この作品も冒頭にも書いてあるし、雰囲気から雪の日(作中には雪とは出てきませんが)という印象の方が強いです。
『戦の魔女-シュラハト・へクセ-』
一癖あるキャラクター達が織りなす恋愛は、実にストレートでした。私はストレートなのが好きなので、読んでいてスカッとしました(※ちゃんと恋愛もの)。イーラが愛おしくて仕方がないです。
テーマへの考察:最後の参考文献のところに書いてあります。その通りだと思います。ある意味熱い恋愛ものであり、イーラもハイレンも他のキャラも熱いものを持っている人々だと思います。
『書の国の迷い鳥』
Web上で読むというのが皮肉じゃないかというくらい本の描写が魅力的。図書館の人たちがどこまでも温かくて、一緒にサリィを応援したいという気になります。成長物として綺麗にまとまっています。
テーマへの考察:作中のどこかに熱という単語が出てきた気がします。炎鳥もテーマに引っかかっているのかと。前述の熱という単語をなくしてしまって、サリィの図書館にいたい熱い想いをもっと全面に出してよいかもしれません(すでに熱い想いはあるけれど、もう少しこれがテーマですと言わんばかりに出してもいいのでは、という意味)。
『P&S -Thermoelectric Effect-』
冒頭に至った原因には彼女の仕事に対する熱意もあるはずなんだけど、仕事モードへ切り替わるシーンは共感できる部分も多く自分も気合いを入れ直さなきゃいけないなと思いました。
テーマへの考察:熱い想い、これに尽きるかと。短い中で熱い想いが飛び交っていて、今回の作品の中でもテーマによく即していたと思います。むしろ、テーマに沿って書くのなら短い方が話がそれなくていいのではと体現した作品とも。
『余燼』
ミステリーとしても十分堪能できるけれど、テーマとタイトルの扱い方についてが非常に深いのでそちらを堪能するとより深まるかと。ある程度の答え(作者の解釈)は書かれているけど、それだけではない何か(裏)がたくさん潜んでいそうなのもよいです。
テーマへの考察:ミステリーでありますし、テーマの扱いについてははっきり書かれているので明言は避けます。後半に向けてテーマが燃えさかっているのが上手い。最後の炎も余韻があっていいです。
『The Time Over And The Heat Over』
この方はハードボイルド系好きなんだろうなあというのが作品全体から伝わってきました。自分がどういう思考回路をしたかは覚えていませんが、自分の思っていた方向とは逆の方向で話が纏まったので、それはそれでよい裏切りであったと思います。
テーマへの考察:もともとは熱暴走がテーマと絡んでいるのですが、最後は作中にも書かれているとおり人の温かさの熱へと変換されています。このエネルギーの変換が上手いです。
『真夏に降る雪』
この手のコテコテ異世界FTを最近見かけないのが残念で仕方ありません。鼠のエピソードってさらっと読み流してしまいがちだけど、ここから色々なことが推測できるので、鼠にしたのってすごいんじゃないかと思いました。
テーマへの考察:熱が奪われてしまった物語であり、熱を取り戻す物語。前者の考え方は面白い反面、「凍る」とか「氷」でもテーマとなり得てしまうので、後者で捉えるのが良いのかもしれません(え?両方でいいじゃないって?)。
『機関熱』
このまま雑誌に載せてしまえばいいんじゃないでしょうか。この手の好きな物語りは興味ない人にはよく分からないものになりがちですが、バイクに無知な私でも「へー」と感心することがたくさん書いてあって、作者の気遣いと筆力を感じました。
テーマへの考察:「エンジンは日本語で熱機関」だそうです。エンジンの話ももちろん出てきますが、何よりも熱いのは作者であるページのPさんのバイクに対する想いです。
『ボーダーライン』
タイトル通り細いボーダーラインギリギリ立った少女達の話。思春期の女の子の独特の感情だろうなと思っております。そして、結衣子と律で進む先が違うんじゃないかと勝手に想像してみたり。
テーマへの考察:彼女たちの思いは何よりも熱いです。燃え上がるようなとかじゃなくて、じわじわと奥底からくすぶるような、押し殺した熱い想いです。触ると火傷はしますね。
『ブルーマウンテンの所為』
基本をしっかり抑えた設定、話の流れであるからこそ後半の裏切り展開がよく効いてくると思います。きちんとその後をフォローして元の道に戻しているのがお見事。大人でも楽しめるけど、若いうちに読めばまた違う感想が出てくるのかと。
テーマへの考察:レイコのぬくもりの熱。熱というよりは温かさやぬくもりの方が近いので、熱度は弱めかと思われます。
『追懐の青』
それを怪物というのか否かという点に関しては、物語の背景を探るに怪物であったと思います。アルブレヒドとランツェの関係が板についてきてよい感じです。地味に城主のキャラがよいと思います。
テーマへの考察:この作品も熱を失った村の物語。過去のキャラクターを使っているというのがどれだけ影響しているのかはわかりませんが、テーマがわかりにくくなってしまっているのが少々残念です。
『クリスマス☆さぷらいず』
パッション!でマジ大爆発です。笑いたい人は読むべし。ホテル関係者達のプロの仕事ぶりにも注目です。何よりも昨年の「ゆずり葉の系譜」の方だということがサプライズでした。
テーマへの考察:パッション!パッション! 冒頭での伊佐美君の燃えたぎるような熱い想いはもちろん、ホテル関係者達の仕事に対する情熱であったり、ラストの恋の予感であったり。パッションパッション!
『トマトの情熱』
企画の中でも気になるタイトルトップクラス。物語で出てくる問題は自分たちとは無関係とは言えないのが怖いところ。延々トマトが飛び交っているのに、きちんと話の筋が通っているのは見習いたい。「ヘタをめく~」のくだりはツボでした。
テーマへの考察:タイトルの通り情熱以外の何者でもありません。作中に出てくる作品の情熱、物を書くということに対する情熱、仲間を大切にする情熱。情熱がたくさん詰まった作品でした。
『21時のサウナルーム』
人生は一期一会の繰り返しを体現した作品。人生の13分間に意地と友情?と憎しみと色々なものが濃縮されていました。この作品だけで言えば自分に通ずる物をたくさん持っている人だと感じました。全編通じて読者に殴りかかる姿勢が見えるのがよいです。
テーマへの考察:文章を読んでいるだけで自分までサウナ独特の息苦しさや熱を感じます。でも、本当の熱は男同士の熱き戦いにあります。熱い中で男の熱い戦いと聞くだけで暑苦しいですね。
『体調管理って大事よね』
文字通りジェットコースターに乗っているようなスピード感がありました。コメディとしてはもちろん面白いのですが、マシンガントークぶりやあちこちに思考が飛ぶ文章は女子の思考そのままで、ある意味リアリティで良く出来ている作品。
テーマへの考察:Faverの熱。38度も出しているのにずいぶん元気だなと思ったのだけど、女子というのはそんな時でもめまぐるしく色々考えているのかもしれません。私は体調崩しても熱はほとんど上がらないので、高熱の時の状態ってよくわからなかったり。
『青い炎の色に』
希望を求めて旅をする人たちの話なのに、どこか終焉に向かっていくような印象を受ける不思議なお話。ラストの解凍シーンは厳かであり恐れをも感じます。実際に自分の目で見てみたい光景です。
テーマへの考察:発見した惑星が氷で覆われていたので、それを溶かすための熱。っていうとたいしたよに聞こえないのだけど、人類の希望の詰まった炎は激しく燃えているのにどこか静かで、「燃え燃え」な他の作品とは一線を画していました。
『水中花』
水中花を通じて祖母への複雑な思いが丁寧に描かれています。読めばテーマが熱なのは納得するのですが、表向き水中花や冷めた想いなど冷たいものを前面に押し出しているのも面白いです。水中花の制作過程も含めて全編リアルで丁寧です。
テーマへの考察:トンボ玉を作るためのバーナーの熱がテーマの熱につながると思うのですが、祖母は水中花の様な冷たい人であったり、水中花を何としてでも作りたいという主人公の思いは元々は冷めた想いでもあったり、その対比が面白いです。
『アーミン・プレストン卿と暴走からくり執事』
ビクスビーさんの執事っぷりといい、ツッコミ所満載のキャラクター達といいツッコミ体質の私にはちょうどよいボケ具合です。過去の作品も読んだことない人は是非!暴走編からレッスン編へ戻るとそれはそれで面白いことになっています。
テーマへの考察:暴走からくり執事を動かすための蒸気。熱よりも煤だらけになってしまったお屋敷や食事の方が印象に残るので、熱度は低いかもしれません。
『熱力学第一法則』
熱いドンパチシーンもすごいのだけど、余計な感情や描写を省いて描かれていることで、彼らのいる世界の殺伐感やスピード感が良く表現されています。そんな中であの終わり方にしたのがこれまた素晴らしい。つい余計なことって書きたくなりますからね。 #オンライン文化祭
テーマへの考察:熱力学第一法則=エネルギー保存の法則。冒頭で触れられているとおり、彼らの駆け引きは常にこの法則に成り立っているということでしょう。これを念頭において読んでいると、どのシーンもこの法則が裏に潜んでいることに気づかされます。
吉田和代様主催オンライン文化祭2012~熱~に参加。
ついったでの感想+テーマ考察っぽいものを書いたまとめ。
うっかりPCデスクトップで1年も温めてしまったため、作者名はないわ読んだ順だわで色々適当。小説部門のみ。
『烈火剣 石摺り』
ネーミング、ラストのバトルシーン、いつものテーマと藤茶葉先生の基本がしっかり抑えられた作品でした。いつもに比べて博士…もとい藤茶葉先生の小説のテーマが前面に押し出されています。これくらいストレートでも良いと思います。
テーマへの考察:テーマの「熱」という単語は熱を持つ石というところでのみ出てきます。もちろんこの熱い石は話のキーポイントとなるわけですが、テーマが「熱」なので、いつもより熱い想いがたぎって「生きる」というテーマが前面に押し出されたのかもしれません。作品で一番熱かったのは藤茶葉先生だったということでしょう。
『パイロキネシス・クライシス』
前半断片的にシーンが出てくるかと思いきや、それがラストには綺麗に纏まっているのが素晴らしい。最後は「うまいことはめおったな」という気持ちになります。作品のみならず主人公の能力の使い道について考えるだけでも楽しめます。
テーマへの考察:熱に関する能力とテーマがわかりやすい形で消化されています。最後の方で出てくる熱に関する能力が秀逸。さらに、ラストで出てくる「熱」はちくしょうめ、と思いました。お似合いですよ。
『サムライ熱』
冒頭のちょんまげの文字が出たあたりから物語に引き込まれました。前半ニヤニヤ、後半ハラハラソワソワできる作品でした。断然誠二郎さん派です。佐久間なんて認めーん! 二人の性格の対比も見所の一つ。ちなみに下着はかぶっていたと思うに一票です。前半は誠二郎さんが素敵すぎてルンルンしてしまいました。行動の一つ一つが愛おしい。キャラクターがきちんと書き分けられており誠二郎と佐久間(さん)の対比が見所の一つです。
テーマへの考察:feverの熱がモチーフでした。熱という単語よりもタイトルの「サムライ熱」によって物語が転がっていくという使い方でした。アイテムとしてテーマが消化された作品でした。
『温度屋の美鳥さん』
オムニバス好きなんです。カホちゃんの元ご主人への裏切り具合がよかったです。昔好きだった児童書につながるものがあって懐かしかったのと同時に他の人々を主人公にした話も面白そうとか妄想が膨らむ世界観でした。全体のほんわかした雰囲気に癒やされます。
テーマへの考察:心が熱すぎるか、心を熱くしてあげるかというところで熱という単語がでてきたくらいで、人の温かさや温泉やふわりとした村の人々にはどちらかというと「温」という言葉の方が適しているように感じました。
『顕斎 ― utusiiwai ―』
100枚というページ数に捕らわれずにとにかく読み始めてしまえば良いと思います。きな臭い事件と登場人物達が物語に一気に引き込んでくれます。一番の魅力はラストの余韻かと。とにもかくにもオカルトミステリーは嬉しい。
テーマへの考察:この作品も熱が能力?事件のモチーフとして使われています。延々と熱(火災とか焼けるとか)の事件について追っているので読んでいる方が炎にやられて熱くなってしまいそうです。
『積善の家に余慶あり』
青春のようにキラキラしすぎず、かといってドロドロしすぎず真っ正面から青臭いものと向き合っている作品。文也君が素直でかわいい。よく読むと単なるハッピーエンドとは違って二面性があるように思います。
テーマへの考察:作品そのものには熱っぽさは感じられないのですが、昨年の作品といい何かを乗り越える作品を書くという作者の熱い想いが伝わってきました。それと熱という意味でにフィーバーしているのは親たちですね。
『埋み火によせて』
前半の謎をばらまき、じらすにじらす構成があることで後半が生きています。「私」の生き方考え方は私にはやっぱり理解出来ないのだけれど、それは短い物語の中で「私」という人物が描ききれている証拠です。
テーマへの考察:「私」のノートの部分で熱い想い(一部カロリー的な熱)という意味での熱がたくさん出てきます。テーマに引っ張られて熱という単語が散見しすぎている印象を受けました。それがなくてもあの文章であれば「私」の熱い想いは伝わってきたのではないでしょうか。