読んだ小説の感想を書いてみたり。
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吉田和代様主催オンライン文化祭2012~熱~に参加。
ついったでの感想+テーマ考察っぽいものを書いたまとめ。
うっかりPCデスクトップで1年も温めてしまったため、作者名はないわ読んだ順だわで色々適当。小説部門のみ。
『烈火剣 石摺り』
ネーミング、ラストのバトルシーン、いつものテーマと藤茶葉先生の基本がしっかり抑えられた作品でした。いつもに比べて博士…もとい藤茶葉先生の小説のテーマが前面に押し出されています。これくらいストレートでも良いと思います。
テーマへの考察:テーマの「熱」という単語は熱を持つ石というところでのみ出てきます。もちろんこの熱い石は話のキーポイントとなるわけですが、テーマが「熱」なので、いつもより熱い想いがたぎって「生きる」というテーマが前面に押し出されたのかもしれません。作品で一番熱かったのは藤茶葉先生だったということでしょう。
『パイロキネシス・クライシス』
前半断片的にシーンが出てくるかと思いきや、それがラストには綺麗に纏まっているのが素晴らしい。最後は「うまいことはめおったな」という気持ちになります。作品のみならず主人公の能力の使い道について考えるだけでも楽しめます。
テーマへの考察:熱に関する能力とテーマがわかりやすい形で消化されています。最後の方で出てくる熱に関する能力が秀逸。さらに、ラストで出てくる「熱」はちくしょうめ、と思いました。お似合いですよ。
『サムライ熱』
冒頭のちょんまげの文字が出たあたりから物語に引き込まれました。前半ニヤニヤ、後半ハラハラソワソワできる作品でした。断然誠二郎さん派です。佐久間なんて認めーん! 二人の性格の対比も見所の一つ。ちなみに下着はかぶっていたと思うに一票です。前半は誠二郎さんが素敵すぎてルンルンしてしまいました。行動の一つ一つが愛おしい。キャラクターがきちんと書き分けられており誠二郎と佐久間(さん)の対比が見所の一つです。
テーマへの考察:feverの熱がモチーフでした。熱という単語よりもタイトルの「サムライ熱」によって物語が転がっていくという使い方でした。アイテムとしてテーマが消化された作品でした。
『温度屋の美鳥さん』
オムニバス好きなんです。カホちゃんの元ご主人への裏切り具合がよかったです。昔好きだった児童書につながるものがあって懐かしかったのと同時に他の人々を主人公にした話も面白そうとか妄想が膨らむ世界観でした。全体のほんわかした雰囲気に癒やされます。
テーマへの考察:心が熱すぎるか、心を熱くしてあげるかというところで熱という単語がでてきたくらいで、人の温かさや温泉やふわりとした村の人々にはどちらかというと「温」という言葉の方が適しているように感じました。
『顕斎 ― utusiiwai ―』
100枚というページ数に捕らわれずにとにかく読み始めてしまえば良いと思います。きな臭い事件と登場人物達が物語に一気に引き込んでくれます。一番の魅力はラストの余韻かと。とにもかくにもオカルトミステリーは嬉しい。
テーマへの考察:この作品も熱が能力?事件のモチーフとして使われています。延々と熱(火災とか焼けるとか)の事件について追っているので読んでいる方が炎にやられて熱くなってしまいそうです。
『積善の家に余慶あり』
青春のようにキラキラしすぎず、かといってドロドロしすぎず真っ正面から青臭いものと向き合っている作品。文也君が素直でかわいい。よく読むと単なるハッピーエンドとは違って二面性があるように思います。
テーマへの考察:作品そのものには熱っぽさは感じられないのですが、昨年の作品といい何かを乗り越える作品を書くという作者の熱い想いが伝わってきました。それと熱という意味でにフィーバーしているのは親たちですね。
『埋み火によせて』
前半の謎をばらまき、じらすにじらす構成があることで後半が生きています。「私」の生き方考え方は私にはやっぱり理解出来ないのだけれど、それは短い物語の中で「私」という人物が描ききれている証拠です。
テーマへの考察:「私」のノートの部分で熱い想い(一部カロリー的な熱)という意味での熱がたくさん出てきます。テーマに引っ張られて熱という単語が散見しすぎている印象を受けました。それがなくてもあの文章であれば「私」の熱い想いは伝わってきたのではないでしょうか。