読んだ小説の感想を書いてみたり。
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- 2024.11.23 [PR]
- 2014.01.13 茶林小一著「隠し剣 十二支抄 疾走剣 蹄」
- 2013.02.13 茶林小一著「やまあり」
- 2011.11.13 三里アキラ著「悪魔の絵本」
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毎年恒例藤茶葉なんちゃら先生が隠し剣シリーズを書かれたので読みました。
「隠し剣 十二支抄 疾走剣 蹄」
このシリーズは新感覚時代小説シリーズとうたった歩み寄りやすい時代劇小説で、その中でも十二支抄はお正月小説として毎年公開されているものであります。
ぶっちゃけ武士道というものは私にとってはくそくらえ以外の何物でも無いのですが、このシリーズの面白いところはその武士道が描かれていることです。
そして、今回の蹄の一番面白いところも武士から逃げようとしていた一太郎が、所詮武士の子であったところです。シリーズの中でもこの武士の精神がわかりやすく描かれているのと、一太郎の中で何か一皮むけた気がするのでシリーズの中でも好きな部類に入ると思います。
ただ、一つだけ難を言えば、せっかくの剣シリーズなのに剣がなくてよかったことでしょうか。
博士が時代物にも親しみやすいようにとしている名付けも、私の好むところではないのですが、これがないと隠し剣という感じがしなくなってきたので慣れというのは怖いです。
だいたいの作品は20枚以内で読めてしまうので時代物としておすすめ。
知り合いの博士こと茶林小一氏が童話を書いたらしいので読みました。
「やまあり」
平原に立つ?二つの山に集まる旅人達の話。
結論から言ってしまえば博士を知っている人が読んだ方がより面白い。
表と裏の意味で楽しめるという意味で。
表の普通の童話として。
二つの山を巡って人間の本質が語られていて、何も知らない人が読んでも十分楽しめます。他者から見ればどうでもいいことで争い合う人間。はじめのたびびとの埋葬のくだりは悲しくてやるせない出来事であり、妙に納得出来ることでした。はじめのたびびとのためにと言いながら、彼の願いは誰にも伝わっていないというのがなんとも。
最終話の内容は博士がさんざんテーマにしている部分に通じているので、ニヤリとできました。
裏の童話???として。
もうこれは、乳星人である博士を知っている人ならば第一話のタイトルを見て同じ事を考えたでしょう。
これは隠喩ではないかと。
おふざけがいつ来るかと読んでいるとそんなことはなくてあれ?と思うのですけれど、よく読んでみると乳に対する主張はいつもと変わらなくて「大きい方がいい」って書いてありますよね?これ。
特に一話目の「われわれのてで、おおきくすればいいのだ」から「おおむね、よろしいとおもう」の下りは完全に趣味の話をしていますね。本当に大胸好きですね。
ひらがなばかりの物語でカタカナが出てくるのに違和感があるのと、もっと言ってしまえば全てひらがなにする必要があったのかというのはあると思います。童話だからひらがなと見えなくもなく。漢字を入れても童話として成り立つと思いました。
博士の表と裏が共存している話はあれど、どっちかに偏っていることが多いのでバランスよいのは珍しいと思います。博士の本質が詰まりに詰まっているので、そういう視点で読むと非常に面白いと思います。
ついでに朗読版が限定公開されていたので聞いてみました。
これはこれで面白かったです。私は夜のNHKラジオのテンションが好きだったりするので、淡々と語られる物語は楽しめました。
そして、ラジオドラマはともすると話においていかれることがありますが、難しい表現はないので耳に優しいお話でした。
私が関東人なのをいいことに言わせてもらえば発音揺れがたくさんありましたので、精進していただければと思います(じゃあ、私が美しい発音をしているかと言われればそうでもないのですけれど)。
お知り合いの三里さんにTwitterの「
パブ-にて公開中の「雪待ち見上げる空」の中の一作です。
三里アキラ著 「悪魔の絵本」
ストーリーは悪魔が3つの願いを叶えてくれるというあのお話です。
この方の書く易しい物語が非常に私のツボにはまるというかフィットします。
千奈美ちゃんがなんとも可愛らしいです。ふくれたり、素直になれなかったりするけれど、本当は甘えたくて優しい子なのが非常に愛おしいです。
決して派手でもないし、突飛な物語でもなくて3つの願い系ではありがちと言えばありがちな話ではあります。それでも、あの読後感の良さはなかなか味わえないものでした。あのぬくもりはきっと千奈美ちゃんと悪魔と同じ心の温かさなんだろうと思います。